大学進学率が年々上昇している中でも、経済的な理由や様々な事情から、進学せずに高卒で就職をする人も少なくないでしょう。
高卒でも安定した職が得られるとして、人気の「公務員」。
- 高卒で目指せる公務員にはどんな種類があるの?
- ぶっちゃけ試験って難しい?
- 大卒の公務員と何が違うの?
- 民間就職もあるけど、どちらを目指すべき?
そんな疑問に、現役地方公務員として働く私からの視点も交えながら、お答えします!
高卒で目指せる公務員の種類
公務員になりたいと思ったら、まずはどんな種類があるか調べてみましょう。
あなたがなりたい公務員とは、どの公務員でしょうか?実は公務員にはたくさんの種類があります。
実際に、私が公務員を目指し、どの試験を受けようかと種類を調べた時は、こんな仕事もあるのか!と驚くと同時に、とりあえず受けられるやつ、全部併願しよ!って感じでした。
ひとつ忠告させてもらいますと、とりあえず公務員になれればなんでも良い、という考えの人は、公務員になった後、必ず痛い目にあいます、、、
後にも述べますが、公務員は基本、定年まで仕事を続ける方が多いです。あなたが、今受けようとしているその公務員は、長く続けていく仕事として、興味を持てますか?
実際にはいくつも併願するのが一般的ですが、少し考えてみてくださいね!
それではさっそく、どんな種類があるのか見ていきましょう!
高卒から目指せる公務員には「国家公務員」と「地方公務員」の2種類があります。
その中でも、職種が細分化されていますので、一般的な種類を説明しますね。
ちなみに、「高卒」とは、あくまで試験の難易度、学力の程度を指しており、実際の学歴が「高卒」である必要はありません。「中卒」でも「大学卒」でも受験することは可能です。
ただし、高卒程度の試験は、受験資格に年齢制限を設けている場合が多いので注意が必要です!
国家公務員
①一般職
事務処理などの業務を行います。
採用区分は事務と技術、農業、農業土木、 林業などがあります。
②専門職
専門性の高い業務を行います。
入国警備官、刑務官、税務職員、海上保安 大学校学生など
③その他
衆議院事務局職員や参議院事務局職員、裁 判所職員など
地方公務員初級(高卒)
①事務系
経理や政策遂行などの業務を行います。
学校事務や、行政事務、警察事務など
②技術系
土木、電気、建築、農業などの専門知識を 要する業務を行います。
③警察官、消防官
いずれも地方公務員です。
警察官は都道府県の採用試験、消防官は市 町村ごとの採用試験となります。
なお、地方公務員は都道府県や各自治体によって受験資格等が異なっていますので、事前確認を確実にしてください!
高卒公務員試験の難易度は?
実際に高卒程度の公務員試験の難易度はどのくらいでしょうか。
結論を申し上げます。
高卒程度なんだから、レベル低いんでしょ〜、と余裕ぶっこいてる方がいたら考えを改めた方が良いでしょう。公務員試験専門学校があるくらいなんだから、普通に試験勉強頑張らないと受かりません。
試験内容ですが、筆記試験(知識・知能)、作文試験、人物試験(面接・討論)が行われることが多いです。
筆記試験、作文試験
・地方国立大学合格レベルの基礎学力
・偏差値50レベルの高校で成績トップクラスの学力
が必要などと言われています。
問題の難易度は大卒程度の試験に比べ低いとはいえ、簡単に受かる試験ではないことがわかりますよね。
私の周りの高卒採用者は、本当にみな優秀な子が多いです。聞いたら高校の時の評定とかもめちゃくちゃ高かったです。
それと、実際に高卒でストレート採用の子は意外と少なくて、1〜2年の公務員の専門学校卒の人が多いですね!
高卒ストレートで公務員になる方って、とても優秀な方だと思います。私は尊敬します。
大体の難易度は、市販の問題集をひらいてみるとイメージがつきやすいですよ!
人物試験
・最終合格をつかみとるには、筆記試験の後、人物試験を突破しないといけません。
採用枠が少ないこともあり、実は筆記試験よりも、人物試験の方が難関とも言われています。筆記試験を通過することが前提ですが、面接対策を疎かにする人は受かりません。
私の周りの高卒採用の人達が、みな人柄が良く優秀なのは、やはりこの狭き門をくぐり抜けてきた人達だからなんでしょう。
基本的に面談は、この人と一緒に仕事をしたいかどうか、という視点で見られると思うので、意識して対策してみてください!
高卒公務員と大卒公務員を徹底比較!
高卒で公務員を目指す方は、上級(大卒)の公務員と比較して、出世や給料はどうなるのか、気になるところですよね。
大卒に比べて冷遇されるんじゃないの?と心配されている方もいるでしょう。
出世、給料、業務内容の3点で比較してみました!
なお、主に地方公務員を想定した比較です。
国家公務員は、高卒、大卒というよりも、官僚(総合職)か一般職(大卒、高卒問わず)で絶対的な差が生じてきます。
出世
結論から言えば、採用枠により出世の差があります。
係長以降くらいからは、大卒の方が上に登っていきやすいです。
私の働く県庁では、採用枠ごとに、役職に就く年齢や人数などが統計データで示されていますが、高卒採用の方は、明らかに昇進年齢が遅く定年まで係長、出世しても課長補佐程度の方が多いです。
歳を重ねるにつれ、高卒採用の方は、自分よりも年下の職員が上司になり、少しやりにくい、、なんて声を聞いたこともあります。
また、本人の業務能力には差がないのに、採用枠だけで出世に差がつくのは、やりきれない気持ちになるかもしれません。
ただし、役職があがれば、その分責任も重くなりますので、こういっては語弊がありますが、長く気楽な立場で働けるとうことを逆にメリットと捉えることもできますね!
私も入庁当初は、認められたい、出世したい!という考えが強かったですが、役職者の仕事ぶりを見ていると、結局上司(知事)に振り回され、責任も重くなり、苦労が増えるだけ、、、という感じで、出世することが必ずしも良いこととはいえないと感じています。
出世は別に良いんだけど、給料の面ではどうなんだい?という方も多いでしょう。
次は、給料について、比較してみます!
給料
これについては、生涯年収ベースでは高卒、大卒で大きな差がないと言えます。
総務省の統計に基づき、データ比較してみました!
平均給与月額(地方公務員)
高卒 414,849円(平均年齢44.7歳)
大卒 405,429円(平均年齢40.7歳)
平均ボーナス額(地方公務員)
高卒 1,513,174円(平均年齢44.7歳)
大卒 1,438,131円(平均年齢40.7歳)
平均年収額(地方公務員)
高卒 6,491,362円(平均年齢44.7歳)
大卒 6,303,279円(平均年齢40.7歳)
こうして比較すると、高卒の方が金額は高いですが、平均年齢に4歳の差があります。
実質的には、同年代で比べると、やはり大卒のほうが給料が高いということです。
しかし、高卒の方が4年間長く働くことを考慮すると、実は生涯年収ベースでは大きな差は生じません。
これは、高卒で公務員を目指す方には、嬉しい情報なのではないでしょうか。
業務内容
こちらも結論を言えば、高卒だからレベル感の低い仕事を任される、といった学歴差別は一切ありません。
高卒だろうが、大卒だろうが、基本的に仕事の内容は同じであり、優秀な人は公平に評価されます。
なので、若いうちは、一緒に働いている中で、高卒採用だということは、本人から言われなければ気付くこともありません。
実際に、私の同期や先輩職員にも高卒採用の方は何人もいますが、大卒の方と業務遂行能力に1ミリも差がありません。むしろ優秀な人が多い印象です。
そもそも高卒、大卒で地頭に大きな差なんてありませんし、若いうちから働いているんですから、同年代の大卒者より仕事の経験値もありますし、仕事のできる方が多いのも当然ですよね。
ただし、出世の部分で説明したとおり、高卒と大卒で役職に差がついてくると、当然役職に応じた仕事が任されるので、業務内容にも差がついてくるでしょう。
一緒に仕事してる中で、めちゃくちゃ仕事ができるのに、なかなか係長にならない方とかがいて、不思議だな〜って思うのですが、そういう方は初級採用だったりします。
高卒の民間採用と公務員を徹底比較!
最後に、高卒で公務員を目指す方の中には、民間企業への就職も比較検討している人もいるでしょう。
公務員と民間企業ではどう違うのか、それぞれに向いている人についてもまとめてみました!
転職のしやすさ
公務員で働く場合、基本的には生涯公務員という方が多いでしょう。
もし、公務員の仕事が合わない場合に、民間企業への転職しようとしても、営利を求める民間企業とは仕事のスタンスや進め方がそもそも違うことが多く、転職は難しいと言えます。
実は私も転職を考えて転職サイトみたことが何度かありますが、公務員って本当に何か自分の武器になるスキルってのが身につかないんですよね。
必然的に転職できそうな仕事は結局、誰にでもできるような仕事ばかりで、公務員より条件悪いものばかりなんです。
そして多くは、「やっぱり公務員続けるしかないな」って、なります。
ただし、例えば公務員の中にも薬剤師採用とかもあるんですけど、同期の薬剤師は普通に県庁やめて、条件が良い薬局に転職しました。
資格があると、公務員でも転職しやすいかもしれません。
一方で、民間企業で個人のスキルを伸ばしていけば、そのスキルを生かして更に条件の良い企業へ転職する、ということが可能ですね。
私の友人の銀行員は営業成績が良く保険会社からヘッドハンティングを受けて転職してました。
このように、今の職場で力を付けたら、同業種のもっと条件の良いところに転職したり、あるいはまったく違う分野であっても、最初は副業からはじめていずれ本業にする!といったこともできますよね。
公務員よりフットワーク軽くキャリアデザインできることは間違いないでしょう。
副業のしやすさ
公務員の副業は原則として認められていません。
一方で、民間企業の場合は、副業を禁止している企業もありますが、政府の副業推進の動きもあり、公務員よりも副業がしやすい環境にあると言えます。
民間企業であれば、本業に加えて、副業による収入も見込めるので、自分の頑張り次第で収入を増やすことができますね!
さきほど説明したように、副業からはじめていずれ本業にする!っということも可能です。
正直言って、副業ができることは本当に羨ましいです。若年世代の公務員は薄給にも関わらず、副業ができないのは辛いところです。
もちろん公務員の本業に支障が出ない範囲で、信用失墜行為や守秘義務など守るべきところ守っていれば、副業でお金をもらっても良いのじゃないかと、個人的には思いますが、公務員の副業解禁が進むことを願うばかりです。
昇給、昇格
公務員の給料は、基本的に年功序列で、勤続年数や役職に応じた給料が支払われます。
そのため、仕事を頑張っても頑張らなくても給料は同じで、年齢が上がれば給料が上がる仕組みなので、正直モチベーションは上がりにくいです。
ですが、公務員になる方って、真面目で責任感の強い方が多い印象です。
だから、頑張っても頑張らなくても給料が同じであっても、私のまわりの県職員は、真面目に仕事に取り組んでいる人達ばかりです。
中には惰性で仕事している人もいるでしょうが、、、
私の県では勤務成績により、若干の給与差がつく制度になっているのですが、本当に若干なんです。
公務員も、頑張った人がきちんと報われる人事評価制度が導入されていくべきと思いますが、それなりの頑張りでも長く働けば同じように役職が上がっていき、同じような給料がもらえる方が嬉しい人の方が多いのでしょうか。
一方、民間企業では、人事評価制度がしっかりと整っている場合には、本人の実績やスキルに応じて昇給・昇格するところも多い傾向です。
自分の頑張りが収入や役職に影響することで、モチベーションが高く仕事ができる!って、聞くとなんだかすごく良い気がしますよね。
ただ、実際には職場の人事評価制度に不満をもつ方も多いよう。
明らかに営業成績をあげて結果を出してるのに評価が上がらない、成果よりも取締役の個人的な感情で評価が決まる、などなど。
気になる企業がある場合には、その人事評価制度の部分までリサーチできると良いですね!
福利厚生
公務員は給料のほか、諸手当や退職金も充実し、休暇制度もしっかりと整っています。手厚い福利厚生は公務員の大きな魅力のひとつでしょう。
有給も1時間単位で取れるのでちょっと用事を足すときなど、なにかと便利です。当然、自分の仕事の進捗管理をしっかり行うことは前提となりますが、今週は疲れたから今日ここまで仕事終わらせて明日年休とろ!とかも、できます。
私は、育休約1年半を2回取得しました。なかには3年まるまる育休取る人もいます。当然ながら復帰後は元の席に戻れます。ありがたいです。
一方の民間企業の福利厚生にはばらつきがあるため、一概に言えません。
公務員並みに手厚い福利厚生の企業もあれば、最低限しかついていない、あるいは制度はあっても使いにくい、という場合もあるようです。
友人の会社では昼食補助とかの福利厚生があるらしいです。私の県にはないので、かなり羨ましいです。
逆に、育休を長くとると戻るポジションがなくなる、とかよく聞きますよね。そのような会社だと、女性は安心して育児をしながらも働く!ということができません。これは、社会的な問題でもあると思います。
民間企業の場合には、福利厚生について事前にしっかりと確認する必要があります。
さて、民間企業との違いはわかりましたが、結局どういう人が公務員に向いているのでしょうか。
私の周りのいる方々の印象も含めてまとめてみました!
・長くひとつの仕事を続けたい(続けられる)人 ・給与や処遇よりも、とにかく国や地域に貢献したい人 ・安定した給料がほしい人 ・正義感があり、真面目な人
・転職も含めキャリアデザインをしたい人
・自分の頑張り次第で、どんどん出世したい人
・専門的なスキルを身につけて行きたい人
・たくさん稼ぎたい人
まとめ
高卒の公務員について、その実態がどんなものか、イメージができたでしょうか。
安定しているから、親が喜ぶから、と安易な気持ちで、公務員を目指している方は、もう少し良く考えてみると良いですね。
いざ働いてみたら、「やっぱり公務員にならなければ良かった」「公務員やめたいけどやめた後どしよう」なんてことにならないように、少しでもこの記事が参考になりましたら幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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