将来公務員を目指している方は、公務員の給料事情も当然気になりますよね。
この記事では、新卒の公務員の年収について、初任給からボーナスまで、細かくまとめました。
公務員として働いていた僕の実体験や、政府から出されたデータを元に、詳しく説明していきます。
公務員の初任給
公務員には、国家公務員と地方公務員がいます。
・地方公務員:地域に密着したサービスを提供する人
国家公務員の給与は、国の人事院が毎年8月に発表する、民間企業の平均給与で決まります。
民間企業と差が出ないように、調整されるようになっています。
地方公務員もこれに続いて、給与決定がされることが多いです。
国家公務員の初任給
大学院卒(国家総合職=官僚) | 264,400円 |
大学卒(国家総合職) | 232,840円 |
大学卒(一般職=事務方) | 225,840円 |
高卒(一般職) | 187,920円 |
「国家公務員の給与(令和2年版)」https://www.cas.go.jp/より抜粋
国家総合職は、ある程度のところまで出世が約束されている官僚、いわゆるエリートたちです。
初任給のモデルケースとなるのは、下2つの一般職の方ですね。
一方、民間の平均給与はこちらです。
大学院卒 | 228,428円 |
大学卒 | 204,584円 |
高卒 | 166,170円 |
「人事院ホームページ (初任給関係各種の職業別事業所数等及び平均初任給月給)」より一部抜粋
国家総合職の方は若干高いですが、やはり差はあまりないですね。
このように人事院で発表されたデータを元に給与が決められますが、毎年そこまで大きな増減はありません。
地方公務員の初任給
都道府県>政令指定都市>市役所>町村役場
地方公務員は自治体により財源が異なるので、地域により、多少ばらつきが出ます。
初任給は、公務員で最も多い一般行政職を対象とします。
・都道府県
大学卒 | 184,574円 |
短大卒 | 164,190円 |
高卒 | 150,627円 |
総務省「平成30年地方公務員の実態」(https://www.soumu.go.jp/)より一部抜粋。以下の表も同じ
・政令指定都市
政令で指定された、人口50万人以上の市のことを指します。札幌、仙台、名古屋市、大阪市、福岡市など全部で20市になります。
大学卒 | 180,643円 |
短大卒 | 160,533円 |
高卒 | 147,807円 |
・市役所
大学卒 | 181,597円 |
短大卒 | 162,159円 |
高卒 | 149,558円 |
・町村役場
大卒 | 179,295円 |
短大卒 | 160,275円 |
高卒 | 148,021円 |
表で見ると、初任給にそこまで差はありませんよね。
僕が昔働いていたときも、初任給はこのくらいでした。
しかし、この初任給の額がそのまま貰えるのか、と言ったら、答えはNOです。
後ほど詳しく解説していきます。
新卒公務員のボーナスはいくら?
夏と冬で差が歴然
公務員のボーナスは、6月と12月の2回あり、働いている日数によって変わってきます。
したがって、夏は入庁して間もないので、満額もらえません。
しかし、冬は満額もらえます。
計算式は以下の通りです。
夏:(基本給+各種手当)×0.675月(新卒のボーナス支給月給)
冬:(基本給+各種手当)×2.17(満額のボーナス支給月給)(「令和2年12月期の期末・勤勉手当を公務員に支給」より参照)
上の計算式に当てはめて、公務員の新卒のボーナスを例に見てみましょう。
基本給は、人事院が発表した「国家公務員の給与」を参照しました。今回、手当は含めません。
夏:146,100×0.675=98,617
冬:1461,00×2.17=317,037
なんと、差が3倍以上です。
僕が公務員として働いていた時は、ニヤニヤが止まりませんでした(笑)
2年目以降は、夏と冬合わせて、約4ヶ月分のボーナスが貰えますよ。
普段の月給があまり多くなかったので、ボーナスのために、頑張っていましたね。
初任給と手取りの違い
初任給は、初めてもらう給与を指します。
例えば友人と、「給料」の話をすることがあると思います。
実は、給与と給料は別物なんですよ。
給料と給与の違い
給料=基本給
給与=基本給+手当
給料は基本給のみを指し、会社から最低限貰う金額を言います。
ボーナスを支給される際には、この基本給をもとに計算されます。
一方給与は、基本給に各種手当(地域手当、残業手当など)を含めた金額です。
したがって初任給は、会社に勤めて始めてもらう「給与」となります。
僕たちが普段話す「給料が~」は実際間違いで、「給与が~」が正しい表現になります。
初任給から引かれるもの
前述ですが、初任給がそのまま貰えません。
控除、いわゆる給与から差し引かれる税金があります。
初任給から控除額を引いた金額が、「手取り」として支給されます。
以下に、初任給の時に引かれる税金をまとめました。
・所得税:所得に応じて引かれる税金。所得が多いほど上がる。
・厚生年金:将来年金をもらうための税金。
・共済掛金:民間で言う健康保険料。
税金とは異なりますが、下記も引かれます。
・互助会費:職員の福利厚生のためのもの。冠婚葬祭の祝い金や見舞金の他、病気でやむなく休職した際に一定額支払われる。現在無くなっていく傾向にある。
・親睦会費:飲み会や旅行等親睦を深めるイベントの際に使う。
僕は最初給与明細見たときに、控除額に泣きたくなりました(笑)
さらに2年目には住民税も課税されます。
給料が増えてるはずなのに、手取りが増えないと感じるには、課税される金額も増えていくからです。
税金は国民の義務だとわかってはいても、切なくなります。
では、全部でどれだけ税金が引かれ、手元に残るのはいくらなのか、次で見ていきましょう。
実際の初任給の手取りの額は?年収はどうなる?
・手取りの額
初任給ー(所得税+共済掛金+厚生年金)
地方公務員の、東京都で勤務する大学卒の初任給を例に挙げます。
互助会費や親睦会費は、自治体により異なるので今回は含めません。
上記に当てはめて計算すると、
184,574-(5,270+11,172+19,800)=148,332
になります。これが手取りとして貰える額です。
所得税は、国税庁ホームページの令和3年分源泉徴収票を参照しました。
東京都は、地域手当が基本給の20%貰える地域なので、それも含まれての金額です。
初任給から36,242円引かれています。
大都市圏である東京働いていても、15万を切ります。
今回残業手当がついていないので、多少この金額より上がるかもしれませんが、この金額に驚かれた方も多いのではないでしょうか。
僕が公務員として働いていた頃、「公務員は最初から高給取り」と思っていた友人が多かったので、初任給の話をすると、みんな目を丸くしていました(笑)
僕の場合は、友達の方が高い初任給を貰っていましたね。
・初年度の年収
毎月の給与:184,574×12=2,214,888
この数字は、控除がされる前の数字です。手取りを計算します。
手取り:148,332(控除後の手取りの金額)×12(月数)=1,779,984
続いて、ボーナスです。
ボーナス支給額:・夏 184,574×0.675=124,587
・冬 184,574×2.17=400,525
ボーナスにも税金が掛かってきます。控除額を引きます。
ボーナス支給額ー(所得税+共済掛金+厚生年金)
当てはめて計算します。
・夏:124,587ー(2,050+7,037+12,174)=103,326
・冬:400,425ー(16,510+22,902+4,0590)=320,423
毎月の手取りと、ボーナスを足します。
1,779,984+103,326+320,423=2,203,733
この数字が、実際に貰える金額です。
公務員の年収推移
新卒からその後、どのくらいのペースで年収が上がっていくのかを年代別にまとめました。
20代
年収約220万から350万円
周囲と比べて年収が低いかもしれません。
年齢があがるにつれて給料が上がることが公務員の大きな魅力の1つですが、耐えられずやめてしまう人もいます。
ここはまさに、我慢時です。
30代
年収約500万円から600万円
20代より格段に上がります。
責任のある仕事を任され、早い人は役職に就く人も出てきます。
さらに、結婚、出産など、人生の一大イベントを多く経験する年代です。
これにより、管理職手当、扶養手当が貰えるので、収入アップにつながる要因の1つと考えられます。
40代
年収約650万円から800万円
ここまでくると、安定した生活が送れる数字です。
順調な出世コースを歩んでる人は、800万円にもなります。
逆にそうでない人でも、650万円行くのですから、少し羨ましいですね。
50代
年収約800万円から1000万円
定年退職も見えてくる年代ですが、安定の高水準です。
人によっては、組織のトップの立場になる人も出てきます。
責任のある立場になることが多いため、給料も高くなってきます。
まとめ
新卒の公務員の年収は、はっきり言って高くありません。
むしろ、友人より低いと感じる場合が多いでしょう。
でものちに来る30代、40代では、年収の上がり方に笑いが止まりませんよ。
公務員を目指している方の参考になれば幸いです。
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