まいどひろきんです。
今日は公務員の内定が取り消しになることはあるのか?という疑問について調べてみましたよ。
これから公務員試験を受けるという人や、受けたけど民間企業への就職活動は続けた方がいいの?など不安な場合は参考にしてみてくださいね。
公務員は内定取り消しがあり得る?そもそも公務員の「内定」とは?

①公務員の内定取り消しはあり得る。
例)
- 卒業見込みだったが卒業できなかった場合
- 内定後、申告などに詐称があったとわかった時
- 内定後、欠格事由が発生、判明したとき
- 関係者との不正な関係(口利き、コネ、賄賂を贈った場合等)があった場合
など。
②公務員の場合”内定”時点では、採用しなければならない義務はない。
④裁判内で「内定の通知とは、採用発令手続きを支障なく行う準備としての単なる事実上の行為」とされた判例もある
③公務員試験の最終合格=内定、採用ではないことにも注意
まず、民間企業では、内定を受けてそれに返事をした時点で労働契約が成立します。
この「労働契約」は、採用する側とされる側が合意した時点で成立するんです。
つまり、口頭でもいいわけです。このことは労働契約法によって決められています。
しかし、口頭だと言った言わないとなることもあります。そういった事態を避けるために、内定通知書や承諾書などのやり取りが行われます。
内定通知書や承諾書を交わす義務はありませんが、やり取りされると法的効力を持つ、ということになります。
一方、公務員の場合、内定という時点では採用の義務は発生しません。
公務員は労働契約法の対象除外でもあります。
また、昭和57年の「東京都建設局の内定取り消し事件」では次のような判例もあります。
採用内定の通知は、単に採用発令の手続きを支障なく行うための準備手続きとしてされる事実上の行為にすぎず、東京都と上告人との間で、上告人を東京都職員として採用し、東京都職員としての地位を取得させることを目的とする確定的な意思表示ないしは始期付又は条件付採用行為と目すべきものではなく、したがって、右採用内定通知によっては、上告人が、直ちに又は昭和46年4月1日から東京都の職員たる地位を取得するものではなく、また都知事において上告人を職員として採用すべき法律上の義務を負うものではないと解するのが相当
公務員では、内定取り消しとなった場合に法的に守られるわけではないというわけです。
内定の法的効力に違いはあれど、民間企業でも公務員でも、よほどのことがない限り内定取り消しは難しいというのは同じでしょう。
一方で、内定取り消しの可能性は0ではないというのも同様なわけです。
公務員の場合、不景気など会社の経営の都合(倒産や経営の悪化)で内定取り消しとなるというこうとは除かれます。
しかし、自分で内定取り消しの理由を作ってしまってはどうしようもありません。
十分に注意しましょう!
公務員の内定取り消しの事例[留年して卒業不可/免許取得不可など、必要な資格や免許が揃わなかった場合]
去年公務員に内定したけど留年して取り消しになった知人が今年は公務員試験全滅したらしい
— ケインほじり (@kawaba_ta) September 4, 2013
地方公務員内定してたのに留年で内定取り消しになったオタクが現れてビビり散らかしてる
— ヒラリ (@ojii_san3) April 8, 2018
資格見込みって書いたものの4月までに間に合うか心配。
見込みだから資格ないと内定取り消しされるのかな、
せっかく公務員になれたのに、— みやび (@okome2_menhera) January 21, 2022
公務員試験を受ける時に、卒業や免許などの取得”見込み”で臨む場合もあると思います。
その際、卒業の可不可や資格の合否が内定の後で、「せっかく内定をもらったのに卒業できなかった/免許を取得できなかった」というケースもあるでしょう。
必用資格や免許が明記されているのにそれが揃わない場合は、内定が取り消しになりますよ。
▼例)知多市職員の採用に関して
- 採用予定日前日までに受験資格となる大学などを卒業できないときは、採用を取り消します。
- 社会福祉士、保育士・幼稚園教諭、救急救命士の資格が指定された日までに取得できないときは、採用を取り消します。
参照:知多市職員採用試験案内
一方、「資格は取得できるけど書類が間に合わない」というだけでは、内定取り消しとなる可能性は低いです。職場に相談してみてください。
公務員の内定取り消しの事例[学歴や職歴、病歴の詐称]
学歴や職歴、病歴などを詐称した場合に、それが発覚すると内定取り消しとなることがあります。
詐称があっても、即内定取り消しになるわけではないでしょう。しかし、その詐称によって業務の遂行に影響を与える場合や、知っていたなら採用しなかったという重大な経歴の詐称があれば、内定取り消しの可能性が出てきます。
また、採用案内などに「虚偽申告があった場合は不採用」と明記されている場合は、詐称に対してより厳しい判断をされる可能性が高いですよ。
▼例)佐賀県職員採用試験案内

引用:佐賀県職員採用試験案内
学歴詐称で問題になるケース
学歴を詐称するという場合も内定取り消しになる可能性があります。
これは、学歴を低く言う場合でも”詐称”となるんですよ。
実際に、「大卒は受験不可」となっている枠に、大卒を高卒と偽って受験する人もいるんです。
採用前であれば内定、採用取り消しとなる可能性がありますし、採用後に発覚すると懲戒処分の対象になりますよ。
この手の話は何処でもある
私の職場にも「高卒枠なのに大学院卒業」がいた
学歴を落として公務員になるのは珍しくもない本来は学歴でなく能力で採用をするべきなので良いと思う
専門学校卒なのに大卒枠に採用された検査技師を2人知っている中国の民政局の葬儀職員には精華大や北京大卒を採用する pic.twitter.com/8vfrxZb239
— 遺体管理学 教授 (@Prof_Shigeru) December 28, 2021
ちなみに、「大卒程度」、「高卒程度」という試験では、試験内容が大卒レベルや高卒レベルという意味であり、大卒や高卒であることが必須でないこともありますよ。
その場合は、卒業できなくても中退して公務員になるということも可能です。
https://twitter.com/mistil_sss4/status/1333980293473071104
ただし最終学歴によってお給料に差が出ることが多いです。
大卒と高卒では初任給に3~5万円差が付くこともあり、民間企業の平均よりも大きい開きになっていますよ。
中退してでも公務員になるかどうかはしっかり考えた方が良いです。
とはいえ、昔は外交官試験なるものに合格して東大を中退するというのがステータスだったようです。今でもどの道を取るのかはケースバイケースかもしれませんね。
病歴(既往歴)の詐称で内定取り消しとなったケースはある?
病歴などは、つい隠したいと思うこともあるかもしれません。
既往歴は、聞かれなければこちらから申告する義務が無かったりもしますし、採用する側も、業務に大きな支障がなければ病気を理由に不採用とするのは難しいんです。
しかし、実際には、嘘をつきバレて”詐称した”となり、内定取り消しとなった方もいるようです。
採用側からすれば「病気そのものでは不採用にはできなくても、詐称したことは問題にできる」といこともあるでしょう。特に公務員は信用が大事な職ですからね。
病気を隠したからといって、重大なものでなければばれることもないかもしれません。病気によっては、たとえ詐称があったとしても必ず内定取り消しになるというところまではいかないと思います。しかし、重大な詐称は採用に影響が出る可能性があるということは覚えておいた方がよいでしょう。
公務員の「欠格条項」に該当したときも内定取り消しの可能性あり。交通違反などに注意!

公務員になるには、公務員の欠格条項に当てはまらないことが必要です。
欠格条項に該当してしまうと、採用が取り消される可能性がありますよ。
欠格条項について国家公務員法第38条、地方公務員法第16条の他、採用試験情報などにも書いています。
▼例)埼玉県職員採用上級試験等 受験案内

禁固刑以上の対象になることなどは内定後にも起こり得ます。
例えば、交通違反をした場合です。
道路交通法では、
- 酒気帯び運転(自分で運転する/飲んだとわかっていて運転させる/運転する人に飲ませる)
- あおり運転
- 無免許運転
- 人身事故
などが懲役刑の対象になっています。
また、
- 速度違反
- 追い越し禁止の違反
などでも、過度/悪質だったり、反則金を支払わないなどの場合には刑事責任を問われることがありますよ。
【『あおり運転』でJR西社員に懲役6年判決】「運転ミス原因」と主張も「危険運転」認定(2021年12月7日) https://t.co/b4UevQI0r8 @YouTubeより
— 「参院選全国比例・要友紀子を応援している」荒井禎雄(専業主夫を志望するフリーライター) (@oharan) June 24, 2022
物損事故では、しっかり対応した場合や、人身事故でも必要な治療期間が比較的短いものは賠償や罰金刑で済むこともあります。
しかし、たとえ物損事故でも当て逃げすると
- 報告義務違反(3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金)
- 危険防止等措置義務違反(1年以下の懲役または10万円以下の罰金)
として罪を問われる可能性があり、採用に影響する可能性があります。
また、人身事故でも治療期間が長くかかるような重症を負わせてしまった場合や、飲酒運転、スピード違反、ひき逃げなど故意による罪が重複している場合、禁固刑や懲役刑になる可能性は非常に高いですよ。
状況や故意の有無で変わりますが、交通事故を起こして内定取り消しになる可能性はあるので十分に注意してくださいね。
ちなみに、僕は元公安職の公務員だったのですが、警察では親族、先祖、親類、友人に重大な事件に関わった人(前科者)がいないかどうかや、一部の宗教や共産党に近い者がいるかどうかなどが調べられます。
警察の試験を受けるときには、念のため親族にも伝えておくことをお勧めしますよ。
公務員はワイロは違法。採用取り消しの事例もある。
公務員で「不正な採用」がバレて採用取り消しになったという事例があります。
大分県の教職員や山梨市でワイロ、口利きが原因で市職員の採用が取り消しになったり、自主退職の決断をしなければならないという事件がありました。
自分の場合大分県2年連続1番差で
採用ならずで田舎国家公務員なったが、
秦さんは東京か。
もう一人訴えた人は認められたの疑問。大分県教委汚職10年 採用取り消しの秦さん、正規教員に 信念貫き新天地へ 中傷乗り越え努力結実 https://t.co/xGDW9BMwac #西日本新聞
— ちょび@月間100km (@tyobi1001) August 11, 2018
山梨市職員不正採用、取消し職員への慰謝料40万円支払に疑問の声
市長は次の理由を挙げ、その分を前市長に請求
❶採用に不正介在事情を知らなかった職員もおり、ショックを受けてる
❷不正採用で取消された大分県教員の訴えで、最高裁が県への賠償命令を参考
更に救済措置をとhttps://t.co/eIGl51Enlh— 月影隠輝 (@f3eOrVMXRo0zZgC) July 10, 2018
これらの事件では、
- 自分ではワイロを渡していないのに、親や教授などが不正な方法で採用されやすくなるように依頼
という状況なんですよ。
また、事実が明るみになったのが採用後で、数か月勤務してから採用取り消しが言い渡されていますが、内定から採用までの間に発覚した場合は内定取り消しとなるでしょう。
ワイロは公務員の懲戒処分の対象となるだけでなく、金品や見返りをあげた方ももらった方も刑罰の対象になります。
国家公務員倫理法施行前と後とで接待に対する意識は全然違うから、霞が関全体で若手はキレてると思うよ。
忘れもしないが内定祝いで経産省側から「君たちはまだ民間人だから公務員の側からおごることはできない」と言われて自腹払わされたときは衝撃だった。なお当方の内定当時の写真。 pic.twitter.com/miSkKTQwED— 宇佐美典也 (@usaminoriya) February 23, 2021
十分に注意しましょう!
公務員試験の最終合格=内定、採用ではない
https://twitter.com/OhtaYukihiro/status/1463479726211682313
公務員試験に合格すると、合格者には得点や席次が記載された合格通知書が送られてきます。
これを「内定」だと思ってしまうケースがあるのですが、そうではありません。
もともと”最終合格者”の人数が採用予定人数よりも多く設定されるんです。
例えば国家公務員の場合、試験に受かっても地方公務員などに就職するという人も結構いるんですよね。
要するに、試験に合格しても採用してもらえるかどうかは別というわけです。
このことは試験案内などにも書かれていることがありますよ。
https://www.jinji.go.jp/touhoku/
中には、一度民間企業に就職したり、結局内定がもらえず進学、というケースもあるようです。
今さらだけど公務員試験の「最終合格=内定じゃない」っていうやつ闇すぎない?
— IKE@地方公務員 (@IKE48474260) January 13, 2021
国家公務員一般職大卒に「最終合格」しました。ただ官省庁の内定は0です。
第一志望の県庁に落ちたので院進するつもりですが今年の3月から勉強始めても国般は合格までは辿りつけることが証明できました。— イカくん (@ikagakki_0611) August 17, 2021
最終合格はひとまずおめでたいですが、まだ気は抜けないです。
民間企業からの内定もない場合や面接真っ最中という場合もあると思いますが、引き続き頑張ってくださいね!
まとめ
- 公務員は内定の取り消しがある可能性は0ではない
- 公務員の「内定」には採用の義務はないという裁判所の判例がある
- 経歴詐称や交通事故などで禁錮刑以上になると内定取り消しになる可能性がある
- 自分でやってなくても採用取り消し!?ワイロには要注意
- 最終合格は内定ではない
新型コロナウイルス感染拡大の影響で民間企業の内定取り消し者を受け入れたりもしている自治体もあるため、「公務員は内定の取り消しってなさそう」と思うかもしれません。
しかし、場合によっては内定や採用の取り消しもあり得ます。
内定をもらったからと安心せずに、やってはいけないことはやらないのはもちろん、周囲にもそう働きかけるなど、十分に注意してくださいね!
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